事例紹介

菊池様

ヤマハ株式会社

「特定保健指導」で大切なのは、初回面談や初回支援と、やっぱり信頼関係ですよ。人って・・・。

ヤマハ株式会社
人事部 健康安全推進室
主任 管理栄養士
菊池 眞代 様

導入背景・課題

管理栄養士 菊池様にお話を伺いしました

2008年4月から医療保険者(国保・被用者保険)において、40歳以上の被保険者・被扶養者を対象とする、内臓脂肪型肥満に着目した特定健康診査及び特定保健指導の事業実施が義務づけられました。
ヤマハ株式会社では、2003年の健診センター建て替えを機に、集団健康診断から誕生月健康診断に変更し、現在は、医師6名とX線技師1名、看護職12名(各工場を含む)、運動スタッフ4名、管理栄養士1名の体制で、社員一人ひとりの個別フォローを実現しています。
今回は、ヤマハ株式会社の特定保健指導の取り組みについて、管理栄養士 菊池様に詳しくお話を伺いました。

特定保健指導の取り組み

特定保健指導の実施に伴って、定期健康診断の流れは変わりましたか?

◆特定保健指導の実施に伴って、定期健康診断の流れは変わりましたか?
以前から健診後の結果が出るまでの時間を使って健康講話を実施し、受診者全員に情報提供をしていました。さらに、当日出た結果に基づき階層化をし、それに応じた支援をしてきました。当時は特定保健指導ではありませんでしたが、階層化の結果に応じて診察・保健指導・結果説明を実施していましたので、特定保健指導は従来の保健指導のひとつとして追加することで実施できました。

◆特定保健指導の導入時にご苦労はありましたか?
当初は国から大量な情報が一方的に出てくる状況で、特定保健指導の運用方法やシステム、定型用紙など、何も準備が出来ていませんでした。でも、「やってみなければわからない。」と思い、栄養指導の方法をベースとした体重記録票などを作り、今まで使用してきた指導票などと合わせて取り組み始めました。
保健師やトレーナーとも連携をとりながら、毎日が立ち話のような状況でした。
 「最初は、栄養指導と違うので、何をどこまで指導したらいいのか?さじ加減にちょっと戸惑いましたね。」

◆面談や支援は、どのように実施されているのでしょうか?
面談や支援をする際に、私はあまりカロリーやグラムなどは言わないようにしています。面談や支援対象者の立場になれば、カロリーやグラムを説明されても行動にまでは結びつかないですし、血糖値やコレストロールなどはカロリーだけが影響するわけではないので、ひとつひとつの違いを説明して、日頃、摂っている食事を赤色・黄色・緑色に色分けをして*1気づきを促しています。食生活の改善については、仕事場や家庭での食事をイメージできる伝え方をすると理解しやすくて、メタボ*2やそれ以外の検査値に与える影響も非常に大きいですよ。

*1 菊池氏は、食品を「エネルギー源となる黄色」「体をつくる赤色」「体の調子を整える緑色」の3群にわけた自作のツールを基に、知識のない人にもわかりやすく食生活の見直しや過不足食品などを説明しています。
*2 メタボリックシンドローム

◆面談や支援をするうえでのポイントは何でしょうか?
相手が納得できる話を初回面談や初回支援できちんと伝えてあげることが出来れば、後がとてもスムーズにいきます。その後、体重や数値を追って、ともに歩む、支援する。必要に応じてアドバイスや事例を紹介しながら、「大丈夫、みんな意思は弱いから」などと、その人に沿って励ましていきます。
あとは、やっぱり信頼関係ですよね。
人って、「信頼できる人」に「支えてもらう」ってうれしいですよね。この2つが一番大切なことだと思います。

特に男性は数値を追うのが好きな方が多く、数値に対する説明もほしいと思います。ですから、「あなた、血圧が高いから塩分多いわね。」と言うのではなく、「血圧が高いのは、こんな理由がありますよ。」と伝えて、「あなたのお話からすると、まず、これが一番の原因かもしれない。」そうすると、「これもこうでしょうね」「それならどうしましょうか?」と、きちんと説明して、納得できるようにします。
また、場合によっては、「まな板はある?」「コンロはある?」と言う事から、「菜っ葉は長いままゆでるのは大変だから、切ってからゆでるのよ。」と、より台所に入ったイメージがしやすいように話をしています。

◆特定保健指導を実施した効果は得られましたか?
ヤマハの特定保健指導の対象者は、約18%程度で積極的支援の方が多かったと思います。昨年は、そのうちの積極的支援では122名を対象に支援を実施し、わたしはそのうちの63人を積極的支援で追いました。その結果、1から3月の27名中約6割の方が動機付け支援か情報提供に改善できました。積極的支援に残った人でも、ほとんどの人は数値が良くなっています。数値が良くなると、「数値がだいぶ下がったから、もう、支援を受けないで良いですよね。」と終わってしまうケースがありますが、本当は数値が良くなっていても、最後まで指導することが出来れば完全に脱メタすることができると思います。

この27人の中には、脱落した人も、脱落だけれど追いかけた人もいますが脱メタした人も比較的多くいます。特定保健指導の効果がどの程度あったのかはわかりませんが、昨年と今年の半年間の肥満度(BMI)の割合をと比べて、1%減少しました。その中には特定保健指導を受けて減った人もいるかもしれないですね。

支援を脱落したにもかかわらず脱メタ*1したのは、やっぱり信頼関係と初回面談や初回支援でのきちんとした説明だと感じています。やっぱり最初が肝心ですよ。

*1 メタボリックシンドロームの診断基準を脱したことを意味しています。

◆特定保健指導を実施するうえでのポイントはありますか?
先ほども申し上げましたが、やはり初回でのきちんとした説明が一番だろうと思います。だって、わからない話をいくら説明しても、その人は納得しないですよ。
それから特定保健指導の実施については、1人ひとりの対応が重要です。
一般論や総論を言っていても効果は出ないですし、これまでの実績を見ても、保健指導を実施すれば何らかの結果は出ます。リスクは確実に減るものだとわかります。単に痩せれば良いというのではなく、LDLやほかの数値が良くなってくるなら無駄ではありませんからね。
理屈を言っているよりも結果を出しながら学んでいくのが早道なのではないかと私は思います。

◆今後の取り組み
やはり1年目と2年目の取り組みは明らかに違うと思います。今後は、30代への保健指導などにも焦点を当てて、それらをどのように実施・運用すれば効果が出るかをきちんと見据えた取り組みが必要だと思います。

編集後記

解り易い説明を受けることで改善策をイメージ

菊池様は、結果を出すためにはどのような方法が有効であるか、一人ひとりとじっくりと向き合い、自作のツールや市販されている菓子の箱などを用いてわかりやすく簡潔に説明されます。
実際にお話を伺って、解り易い説明を受けることで「なるほど!」と自分自身に落とし込むことが出来、具体的に何をどうすれば良いか改善策をイメージすることができました。